人間は普通の姿勢でいると、頚に頭の重みによるストレスが加わります。また、加齢により頚の骨(頚椎)や軟骨(椎間板)に変化がおこります。このように慢性のストレスと加齢によっておこる頚椎の変形を頚椎症(変形性頚椎症)といいます。
脳から出た命令は、背骨の中の管を通る神経の束を伝わって、手や足にいきます。また逆に手足でふれたり感じたりしたことも同様の経路で脳に戻ってきます。
ところが、加齢や外傷などで、背骨や椎間板が変形してくると後方へ突出してきてこの神経路を圧迫することになります。こうなると手がしびれたり、足がしびれたり、手足の動きが悪くなるなどの症状がでてきます。
脊椎脊髄疾患
頚椎症
腰椎椎間板ヘルニア
椎間板は椎体と椎体との間にある軟骨で、体を支える働きのほかに、ショックをやわらげるクッションの役割をし脊柱(背骨)に柔軟性を与えています。
力学的に腰椎の下部には最も荷重がかかるためヘルニアが多いのです。
年齢とともに起こる椎間板の変性に加え、スポーツ、職業、日常生活などで生ずる種々の腰部への外力が重なりあって椎間板が外に脱出します。症状は腰椎椎間板ヘルニアがどのレベルにあるかによって少し違ってきます。
大多数は、2~3週間の安静と消炎鎮痛剤などの薬物療法で症状がよくなります。
むちうち症(外傷性頚部症候群)
頚部は可動性の大きい部分ですが追突事故、頭部外傷などで急激に可動域をこえて、強制的に過屈曲、過伸展されると、頚部の筋肉靱帯などの軟部組織、神経根、脊髄が損傷されることがあります。俗に“むちうち症”といっています。
受傷後しばらくして見られる症状として項部から後頭部にかけての痛み、上肢のしびれ感、脱力感、頚部の運動制限と運動痛などです。これらの症状の多くは2~3週間の頚部の安静により消失します。事故後、急性期に不完全な治療ですますと難治性の症状が出現することがあります。